Alissaの見聞録

Alissaの見聞録

紙を折ったり夜空を眺めます

光を見つける話

こんばんは。Alissaです。

2019年も最終日になり、今年の自分は何をしてたかしら、と回顧に励んでおります。

しかし、「今年こそは新たなことにチャレンジするぞ!」と息を巻いてみるものの、蓋を開けてみればやれ忙しいやれ今じゃないなどとほざいて結局何もしてこなかった毎年の通例が今年もまた訪れていたのだと思うと悲しくならざるを得ません。

僕自身は無為な生活そのものは全然苦じゃないどころかそれを楽しみさえしてるのですが、いかんせん、『人生楽しまなきゃ死んじゃう病』の人々が周りにあまりにも多すぎるせいで、落差で死にたくなるのです。


じゃあ今年は君は何もしなかった年なのかい?と聞かれるとそこまで何もしてなかったわけでもないんです。

友人と旅行に行ったり、地元周辺で遊んだり、今年は自転車に乗らなかったけどその代わりの散歩だったり。
大学院では他の研究機関から研究を押し付けお願いされたり。
チャレンジで言えばこのブログを始めたことも一つかな。

そして、少ないながらも色んなことをしてきた今年、人生の目標の一つをやっと達成することができたのです。

それが
3大流星群を1年で全て観測すること
です。

 


僕は小さいころから宇宙に興味を持っており、天体や流星群の観測が趣味なんです。
特に、3大流星群と呼ばれる「しぶんぎ座流星群」「ペルセウス座流星群」「ふたご座流星群」は毎年かならず観測するようにしてます。

しかし!僕は空に感謝し大地に感謝し海に感謝し命に感謝し神に感謝し、平身低頭の思いで常に観測をしているにも関わらず、お星さまはなかなか僕にほほえんでくれないのです!!!!
僕が観測をしようとすると高確率で天気が曇りになるのです!!!!!
雨になるならまだ諦めがつきます。外に出るまでもなく観測は不可能なので。
しかしなまじ曇りになってしまうせいで「もしかして晴れたら見れるかも!」と淡い期待を抱かせて僕を外に連れ出そうとしてくるのがお天道様の厄介なトコロ。それでいてちゃんと晴れないので、必ず僕は地団駄を踏むようにして帰路につくのがお決まりとなってしまっていました。

もちろん晴れる日もあって、かなりの好条件で沢山観測ができることもあります。だからこそ毎回が毎回ツイてないってわけではないのが余計悔しいのです。


そんな趣味への熱意と不幸度が比例する僕も、先ほど言ったように遂に3大流星群全てを1年の内に観測できたのです!ほとんど曇ることなく!

いやほんとに長かった。。。
毎年どれかしらは曇るもんだからもう自分は天体観測の神(誰?)に見捨てられたのかと思っていたから。


そんな往年の悲願を今回すこーしだけ語っていこうかなと思います。

しぶんぎ座流星群

しぶんぎ座流星群は1年の一番最初、年明けすぐの1月3日~5頃に極大(流星の発生数が一番多いタイミング)を迎えます。こいつは「出る」年と「出ない」年がかなり揺らいでいて観測数も安定しません。そのかわり、「出る」時はものすごい数の流星を観測できるので僕はお気に入りです。
冬なので乾燥していて曇りになることは少なく、空気が澄んでいるので星の光も良く届きます。
観測時に寒すぎるという欠点があるものの、車などで街明かりのない郊外に出向けば比較的高確率で流星を見ることが出来るでしょう。
お天気キャスターみたいな話し方になってしまった。


僕は今年のしぶんぎ座流星群は、友人と3人で、千葉は銚子市にある犬吠埼という場所に行ってきました。チーバ君の耳の先端です。

友人に車を出してもらい、楽しいドライブの時間です!

と思いきや、目的地に着く前に僕が車中から流星を見てしまい、抜け駆けするな!と非難轟々でした。
めちゃくちゃでかかったんだもん!見逃す方が難しいもん!

犬吠埼に着く前に、九十九里浜に立ち寄って、空がどんなもんになっているか確認しました。
するとどうでしょう!一面に広がる星空!
僕は何度も流星群の観測のために九十九里浜に来ていますが、それでも毎回この大パノラマには圧倒されます。
いったんそのまましばらく空を見上げることに。浜に打ち寄せる波の音を聞きながら観測をして、30分で5個くらい見つけることが出来ました。
この日は新月だったので、月の光に邪魔されることがなく観測が出来ました。
満月とかだと意外と光が入ってきてしまってよろしくないのです。

そして友人が持ってきてくれていたカメラで夜空をパシャリ。
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中央に冬の大三角形、その右にオリオン座、そしてその他もろもろの星々がちゃんと映ってて大満足です。
展望台に並んでる3人の右端で腕を後ろにぶらぶらさせてるのが僕です。

体が冷えてきたところで車に戻り、本当の目的地犬吠埼へ向かいました。

犬吠埼に到着すると暗いなんてレベルじゃないほど明かりがありません。
車を降りるとさっきよりも一層際立って星の光が輝いています。

残念ながらここではむしろ暗すぎてうまく写真を撮れませんでした。悔しみ。
しかしその分かなりの数の流星をみることができました!
単位時間当たりの量で言えば、僕が見たしぶんぎ座の中では、近年で最も観測条件が良かった2014年と同等くらいだったと言えます!

やはりしぶんぎ座流星群は、期待して遠征すればそれに応えてくれる活発性があるので安心感があります。
残念ながら来年の2020年は極大時の月齢があまり良くなく、月明かりが視野に入り込んでしまうので、期待はできないでしょう。
そのかわり2022年は極大時に月が出ていないので狙い目です。

流星群を観測した後は少し仮眠をとって、日の出を見ることにしました。
この日は1月2日の夜半から1月3日の未明にかけて、だったので、初日の出ならぬ3回目日の出です。

みなさんご存じでした?初日の出が日本で一番早く見られるのってこの犬吠埼なんですのよ。地球の軸が実はちょっと傾いてるおかげで、冬のこの期間だけ北海道よりも早く日の出を拝むことが出来るんです。

2020年日本一早い初日の出インフォメーション | 銚子市


日の出を拝む場所は崖になってます。完全に火サス。
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そしてこれまた友人の写真で日の出をパシャ。
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お日様真んんん丸ですやん。

日の出を拝んだら車内で本格的に睡眠を取り、それからゆっくりと帰りました。

今回のこの遠征のおかげで、2019年の新年一発目から縁起のいいスタートをきれたので、とっても嬉しかったです!友人方々、どうもありがとう。

ペルセウス座流星群

全ての元凶

ペルセウス座流星群は8月の半ばころに極大を迎える、毎年安定した活動を見せる流星群です。火球(流星の先端の一番明るくなってる部分)が大きく明るいものが多く、簡単に流星を見つけることが出来ます。
なのですが!!!
活動時期が夏なので湿度が高く、雲ができやすいのです。僕が覚えている限りでは、ここ7、8年はほぼすべて曇りでした。
曇っていてはいかに明るいペルセウス座流星群だろうと観測は出来ません。今まで3大流星群を制覇できなかったのはほとんどこいつのせいです。

特に、2013年は近年でも絶好の観測条件が整っていたにも関わらず、僕が観測を始めようとした途端に一面の曇り空と若干の小雨が降ってきてしまって絶望しました。

それからも条件が悪いor曇りというのが続いていたので、愚痴もたまりにたまっています。



今年もまた極大日の天気は予報では曇りとなっていたので、正直諦めて家に留まっていました。
けれど、日付が変わったあたりで外に出てみると、なんと雲がなくなっているではありませんか!
またすぐ雲がかかってきてしまうこともあるため、急いで準備をします。

久々に巡ってきたチャンスなのだからなんとしてでも見つけてやるぞと意気込んで、地元周辺で観測するときにいつも使う場所へ向かい、観測を始めました。

しかし、曇りではなくなったものの、僕とペルセウス座との相性が悪いのかなかなか流星が現れません。
夏の夜ゆえ気温はちょうどいいので長時間の観測には適していますが、何も変化のない夜空を見上げ続けていると首も目も心もしんどくなってくるというものです。

到着から50分くらいしたところで、あと10分で一つも見れなかったら諦めて帰ろうと決め、呆然と空を眺めていた…その時でした

1つ、小さいけれど確かに流星を見つけることができました!
感動です。ひとしおです。ペルセウス座流星群を見ることができたのはかなり久しぶりなので感嘆の溜め息だって出てきちゃいます。

その後さらに30分くらい観測してもう1つだけさっきより大きいやつを見つけてこの日は帰宅しました。

本来ペルセウス座はかなりの数の流星を見ることが出来ます。
絶望的に僕の運がなかったので今回は2個だけでしたが、来年以降は晴れてなおかつもっと多くの数を見つけられるようになってくれたら嬉しいです。

また、このとき気まぐれにiPhoneで空を撮ってみたら夏の大三角形が映ったので、マイスマホ君をほめてやりました。
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めちゃめちゃダークノイズが乗ってますがiPhoneなら十分でしょう。心の眼で星を見つけてください。

ふたご座流星群

ふたご座流星群は12月の半ばに極大を迎える、ペルセウス座と並んで平均的な流星数が多い流星群です。
やはり冬なので、防寒対策をちゃんとしていないと本当に「死」と隣り合わせの状態での観測を余儀なくされます。
しかし、しぶんぎ座よりも活動が安定しているので、一年の中では最も安心して綺麗な流星を観測することが出来ます。

今年のふたご座は月がほぼ満月の状態で夜中の間ずっと空に浮かんでいるため、観測条件はかなり悪いと言わざるを得ませんでした。

けれども、ペルセウス座も乗り越えた今年の自分ならいけると信じ、またいつもの観測場所へと向かいました。

観測開始が日付が変わった1時ころからだったので、月はもうかなり上まであがっていました。
もう少し早くから始めていれば月は地平線近くで邪魔されずに済んだはずなので反省です。

しばらく観測をしてみるものの、なかなか現れません。寒いので早くしろ。
また今回はうちにあるカメラを持ってきていたので、流星を見つけるまで写真を撮ることにしました。

望遠レンズで撮った月
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オリオン座
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ペルセウス座(右)とプレアデス星団(左端のいっぱい星が集まってるやつ)
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ぎょしゃ座
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電線に被る北斗七星
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メインのふたご座は月が重なっていたので撮れませんでした。
ダーク処理もしてない1枚撮りなのでこんなもんですが、いずれ本格的に天体写真を撮ってみたいですね。

しばらくの間撮れた写真を眺めていたのですが、ふと顔をあげた瞬間に流星がさっと夜空を流れていきました。

突然の発見に思わず声がでてしまいましたが、ようやく1つ見つけることが出来ました。
写真を撮ったりしている間に1時間半くらいは経ってしまっていたので、結構嬉しかったです。

その後は、流星を写真に収めようとカメラを連続撮影モードにして、しばらく観測を続けていました。
広角レンズではなかったので画角が狭く、流星をとらえることはできませんでしたが、自分の眼でしっかりと15個ほど見つけることが出来ました。

1個おしいのがあって、北斗七星の方にカメラを向けて連写しているときに、まさにこの写真の右端くらいの位置で流星を見たときは叫びました。
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撮ってるときはは映っているかわからないし、寒いので家に帰ってから確認してみたのですが、映ってないのがわかったときはかなり悔しかったです。






皆さんも、宇宙って好きな人多いと思うんです。
星綺麗だよね、とか、単純にロマンがあるよね、とか。

僕ももちろんそのうちの一人です。星って、どうしても綺麗じゃないですか。
僕は、夜晴れていたら、基本的に夜空を見上げています。

その理由は「いつもそこに星があるから」です。

どこかの登山家みたいなことをいってるように聞こえますが違います。

星空は不変なんです。いや、これは正確ではないですね。
自分たちが生きているタイムスケールの間では星空は不変なんです。

もちろん、いま地球で見ている光というのは、遠い遠い宇宙のかなたの星から届いた光なわけです。
もちろんその星というのは絶えず運動しているため、昨日その星がいた場所にはもう何もありません。
つまり本来ならば昨日と今日、もっというとさっきと今とでは星空は変化して然るべきです。

それがなぜ起こらないかと言えば、宇宙がデカすぎて、その程度の差異などほとんど気づかないくらい変化が小さいからです。

それが、俗に言う天文学的時間、というものを経た後には変化が現れてきますが、そんなに長く人間が生きることは不可能です。

つまり逆に言うと、僕は常に変わる事の無い(ように見える)星空を見続けることで、自分の生きている時間というものを確かに感じ取っているのです。

なにやら不気味なことを考えているのだなぁと思ってくださってかまいません。
それでも僕は空を見上げ続けるので、もしかしたらあなたと同じ夜空を見てるかもしれません。最高に気持ち悪い。



はい。いかがでしたでしょうか。
すこーしどころじゃないくらい語ってしまいました。

今回は趣味である流星群観測について語りましたが、宇宙関係でも語れることはまだまだあります。
実はこの趣味のおかげで(せいで、ともいえるが)今大学院では宇宙物理学を専攻しているんです。どうです、理系オタク臭半端ないでしょ。


2019年も終わり、来年の自分もまた「新しい事に挑戦する」ことを目標にするだけして大してなにもしないんだろうなあ。

けれど、僕は「変わること」と同じくらい「変わらないこと」も大切にしています。

変わらない、確かな自分の中の光を見失わないように生きていきますので、来年もどうぞAlissaをよろしくお願い申し上げます。